地頭を鍛えるための"好き"を見つける

地頭を鍛えるための“好き”を見つける

地頭とは問題解決のために、もっている知識や情報を組み立てていく力のこと。状況によって臨機応変に対応でき、合わせることができるコミュニケーション能力、いつもと違う場面やトラブルにも動じない対応力、少ない情報からその先を推測する理解力などが挙げられる。これらの能力は幼少期に過ごす環境によって大きく変わってくるという。そこで、地頭の鍛え方について家庭教育研究科の田宮由美さんに話を聞いた。

田宮由美さん　家庭教育協会「子育ち親育ち」代表。家庭教育研究家。幼稚園、小学校での勤務、幼児教室展開、子どもの声を聴くボランテイアなど、多方面から多くの親子に関わる。現在はメディアへの執筆、講演、テレビ、ラジオ、無料オンライン相談など幅広く活動。著書に「比べない子育て」他

地頭が良い子どもに共通してみられるのは、夢中になって取り組めるものがあるかどうか。「例えば、飛行機の好きな子どもが、『どうやって飛んでいるの？空はどこまで広がっているの？』と疑問に思ったことを親に質問したり、図鑑で調べたりしますよね。このなんで、どうしてを突き詰めていく姿勢が地頭を鍛えることにつながります」と田宮さん。

ポイントは主体性をもって取り組むこと。やらされている状態だと思考が止まり、作業になってしまう。「子どもが何に興味をもっているのか見極め、経験させることが大切です」。食事の時間を忘れて夢中になったり、いつもより楽しそうな表情などのサインを出すので、それを見逃さないように。その後、習い事などのステップアップも検討してみよう。

少ない情報からその先を推測できる力。例えば「洗濯物を取ってきて」とお願いしただけで、畳んで片付けまでできてしまうなど。

その場の空気を読むことができ、また人と打ち解けやすい、コミュニケーション能力の高さ。

夢中になって何かに取り組むために利用したいのが習い事。ただ、心配なのは「すぐ飽きないか」という点だ。始める場合は「最低半年続ける、クロールが泳げるようになるまで」など、具体的な目標を話し合っておくといいだろう。「目標達成のために自分で考えるようになるし、続ける中で新たな発見をしてより好きになるかもしれません」と田宮さん。

ところで、「地頭のよさは生まれつき」と考えてはいないだろうか。実は遺伝よりも環境の方が大きく影響する。ポイントは「子ども自身に考えさせ、判断させること」だと田宮さんは話す。

一方的に命令するのではなく、子どもが自分で考えられるように日々働きかけてみよう。例えば、「今日は雨が降るかもしれないけど、どうする？」と問いかけ、「雨が降るなら傘やカッパがいるな」と、自分で考えて判断させる経験を積ませてみるのが重要だ。様々なことを経験させてあげるのが、地頭を鍛えるための第一歩だ。

田宮さんの著書「比べない子育て」（好評発売中）。ありのままを認めながら行動が変わっていく、具体的な親の言葉かけについて紹介している。