疲労ってそもそも何だろう

「疲労」とは、肉体・精神の活動能力が低下している状態のこと。仕事や家事、運動など”活動“することで低下する。主な原因はストレスにあるが、生きていれば必ず起こるもの。疲労を抱え続けていると自律神経が乱れ、さまざまな病を引き起こすおそれがある。

疲労の正体について日本リカバリー協会代表理事片野秀樹博士（医学）に話を聞いた。

日本リカバリー協会代表理事片野秀樹博士（医学） 2015年日本リカバリー協会に参画し、2 0 1 8 年代表理事に就任。G e n k iVital Academy（ドイツ）の顧問や日本体育大学で研究員も務めている。

＜「疲労」の原因は、避けられないストレス＞
疲労は発熱、痛みとともに病気につながるサインと言われているが、もっとも見落としやすい。「なんとなく疲れたな」と感じたら、それは休めのサイン。

「やる気が出ない、忘れっぽいといったことがみられるように。また、慢性的に疲れている人は食事の時間が元気な人に比べて短いという調査結果もあり、”早食い癖“が疲労度を示す場合もあります」と片野さん。

実は、早食い癖も疲労のサインになることも。

＜早食い癖＞
朝食や昼食は10～15分、夕食であれば20分以内に食べ終える人は注意を。食事時間を楽しまず、噛まずに流し込む食べ方が多い。消化吸収が悪くなり、疲労回復につながりにくくなるという。

＜やる気がでない＞
朝起きて「さぁ今日も頑張ろう」と前向きな気持ちになれない。活動するための活力が足りず、パフォーマンスの低下にもつながる。

＜忘れっぽく・怒りっぽくなる＞
知り合いの名前を忘れる、しようと思ってたことを忘れてしまうなど物忘れが多くなる。また、わけもなくイライラしたり、不安定な気持ちにもなりやすい。

やる気がでない、忘れっぽく・怒りっぽくなるといったことも疲労のサイン。

7つの休養タイプ

＜活力を生む「7タイプの休養」＞
　疲労と上手く付き合うには、正しい「休養」をとること。休養と聞くと「よく寝れば大丈夫」と考えがちだが、睡眠はあくまで一つの手段。細かく分類すると「休息、運動、栄養、親交、娯楽、造形・想像、転換」という7つの方法があるという。

「ジョギングなどのスポーツは体を動かすから逆に疲れると思いがちですが、終わった後スッキリした気持ちになりますよね。その状態が活力を満たし、休養をとっていることになるんです」と片野さん。

他にも絵を描くのが趣味の人はそれが休養に、意外だがおしゃべりも休養になるという。「1人で集中するのもいいですが、習い事のスクールに通うなど、人と交流しながら趣味を深めると、より効果的ですよ」。

＜疲労と休養のバランス＞
片野さんが提唱しているのが、日本体育大学の杉田正明教授と共同で作成した休養モデルだ。

「スマホの電池を思い浮かべてみてください。十分に充電していないとすぐ電池切れになりますよね。まずは活力を貯める。そして、活動して疲労が溜まったら、休養することで次への活力をまた貯める。この4つのサイクルを上手く回すことが大切」と語る。

なかなか疲れが取れない人は、趣味を増やしたり、行動範囲を広げ休養の選択肢を増やしてみよう。

記事作成日：2021年12月

休養モデルのイメージ